珍しくシリアスな様子で走る芳香。追いかけるのは今回の冥獣人、コボルトのブルラテスの放つシャボン玉です。渋い見た目のキャラのくせに技はファンシー。シャボン玉が破裂した瞬間に芳香は走っていた理由を忘れてしまうのですが、そこへ現れたブルラテスの前に光が立ち向かいます。ブルラテスはあっさり引き下がりますが、芳香は変身を解いた光に初対面感丸出しでデレつきます。そう言えば初対面の時芳香は光のことハンサムさんって呼んでましたね。妙に語彙が古臭くて笑った記憶が。
兄妹のことは記憶にあるようですが、魔法部屋にもマジレンジャーの存在にも驚いてばかりです。これはブルラテスの小細工で、芳香は1年分の記憶が消されていたのでした。さらに、マジピンクには教えればなれる、というところまで分かったところで魔法部屋に戻った芳香はまた同じように魔法部屋に驚く反応をします。1時間ごとに記憶がリセットする魔法もかけられていたのです。これが結構厳しくて、順応するとかデジャブを感じるとかの描写もなく作中で何回も律儀に同じ反応を繰り返すので中々絶望感があります。
というわけで恒例の記憶喪失回ですが同時並行でループ回でもあります。個人的に記憶喪失ネタとループネタってなぜか好きなんですよね。同じところを何度も回っている描写や、記憶がないゆえに周りの状況に一般人目線でのツッコミを入れたり、その様子がおかしいのを周りが徐々に対策を立てていくところがワクワクします。今回の魔法部屋でも、芳香が忘れた期間はどのくらいかを考えたり同じ反応を繰り返す芳香にげんなりする魔法生物達も面白かったです。
とりあえず現場に行って芳香の記憶が戻るのに期待しようという一同でしたが、そこへテンション高く飛んできたのはかつての恋人、テツヤでした。相変わらずウザいオネエというぶっ飛んだキャラなのですが記憶のない芳香は引き気味です。確かに、テツヤは序盤で新しく出会った恋人って言われてましたから、こういう展開になるんですね。しかしこのテツヤのどこにイケメン独身カメラマンとして惹かれるところがあったのか。テツヤのテンションに戸惑う光が可愛らしいです。そして今回判明した事実ですが、芳香、破局してました。事情を聞いたテツヤはこれ幸いと初対面からやり直そうとするのですが、芳香がテツヤを認識した直後に記憶がリセットされ、心が折れたテツヤは生気を抜き取られてしまいます。ここで芳香からテツヤを引き剥がそうとする兄貴を宥める弟2人が微笑ましいです。生気を抜き取ったインフェルシアが近くにるかもしれないと思った一同は、リセット直後で状況が読めない芳香を置いて現場に向かいます。
光が町中から生気を集めていたブルラテスを追い詰めますが、四底王の最後、イエティのズィーがそれを阻みます。モフモフにホッケーのステッキのいかにもな氷属性で可愛らしいのですが、魔法が通じない上に攻撃力もかなりのもので苦戦する一同。そこへ橋の上でもう一回リセットされて置いて行かれたことも忘れた芳香が迷い込んできます。そんなワザワザ戦闘のど真ん中に来なくても…町中のモブだって怪物を見たら逃げるでしょうに。芳香を庇って大技を食らった光は戦闘不能、他の兄弟達も魔法部屋に退散します。体力回復アイテムに翼の薬っていうのがいい小ネタです。
敵には攻撃力が足りないし芳香は元に戻るアテがないし戦闘力最強キャラは使えない、と日常回にしては中々の八方塞がり具合に沈む一同ですが、さらにタイミング悪くリセットが来た芳香のはしゃいだ様子にいい加減イライラを隠せない様子です。この周囲の空気と状況の読めない本人の落差を出すためにも芳香っていう人選はナイスだと思います。他のキャラだと反応が薄くて周りに与える苛立ちが少なそうですから、芳香の能天気ぶりが説得力あっていい味出してます。
雰囲気最悪の一同に、芳香がお母さんに相談しよう、という最悪の思いつきを出します。まだ死んでない時間軸なんですよね。視聴者にも、あーそういえば、という感じにさせてくれるのが記憶喪失回のいいところです。遂にブチ切れた魁が母親がもう死んでいる事実を一方的にまくし立て、ついでにインフェルシア警報を伝えるマンドラにも状況が動かない苛立ちをぶつけるのですが、なぜここを魁のこのテンションでやらせたのか。芳香にキレる役回りは事情を知らない一般人に八つ当たりするようなものでどうしても好感度が下がるので、いつも芳香を嗜めておりさらに好感度の高低差も少なそうな蒔人や翼あたりにやらせればよかったのにと思ってしまいます。少なくとも魁の好感度下げエピソードがこれ以上増えるのはレッドなのにマジヤバい。
空気最悪の一同ですが芳香が一同を励まします。「勇気を出して。芳香達には勇気があるじゃない。芳香達の武器は勇気。いつだって、勇気が力を与えてくれる、それを忘れちゃいけないよ。」そのセリフは母の脳筋勇気理論。芳香は記憶をなくしてはいますが、マジレンジャーとしての期間の成長っぷりが記憶に左右されないレベルのベースにまで行き届いているからこそ芳香本人の言葉としてこういうことが言えるようになっているのでした。
芳香の成長が自分たちにも当てはめられるなら強敵にも勝てるかも、と気力を取り戻す兄弟達。ここで勇気出そうぜ、と締めるのが第2話で芳香と戦闘放棄した翼なのがバランスいい構成です。
巨大化したブルラテスにマジキングで立ち向かう一同。空に浮かぶ紋章を突き破ってマジレンジャーから魔人形態に変わる演出は初ですがかっこいいので今後の登場を期待します。ブルラテスの装備の硬さに苦戦しますが、芳香の挫けない勇気に応えた新魔法でキングカリバーの切れ味が斬鉄剣化し、コズミックな背景の新演出の魔法斬りでブルラテスの杖を切断します。この新しい魔法斬りもいいですね。マジパンチみたいに今後多用してくれないものか。ステッキが折れたブルラテスは退散します。
魔法が解けて芳香の記憶もあっさり戻るのですが、そこまでが結構苦しんでいたので解決があっさりなのが少々拍子抜けです。さて、記憶によると夜遊び帰りにブルラテスを見つけて追いかけた芳香はいつもの地下神殿で最終兵器的な氷の塊を育てているのを目撃し、その途中で襲われたのでした。実際にその氷の塊、イーブルアイズを一同が目の当たりにしたところで次回へ続きます。次回はどうもフォームチェンジレベルのパワーアップ回のようですので楽しみです。