前回のラストで門に挟まってイジイジしていたブランケン様でしたが、今回初っ端から門をこじ開け出てきてしまいました。さながらドアに挟まりつつもなんとか電車に乗り込む駆け込み乗車成功者です。こんなタイミングでマジレンジャーと直接対決なんて、まさか死ぬ気ではないでしょうね?
ウルザード様はルナジェルと拘束プレイをお楽しみ中。命に防御魔法をかけているルナジェルを確実に殺すため、ウルザードは解除魔法をかけ、じわじわと殺しているところでした。
一方地上ではマジキング対ブランケン。押され気味なマジキングは現時点で最強魔法の天空魔法斬りをかましますが、あえなく阻まれます。華やかでかっこいい技なので好きだったんですが二回目にして弱体化。悲しいです。対するブランケンはンマ様の力を宿した剣で必殺ヘルファング地獄斬り。黒いもじゃもじゃを乗せた剣で紫一閃、強そうです。マジキングは解体し、吹っ飛ばされたマジレンジャーは変身も解除されてしまいます。
同時にルナジェルの命が尽きていくのに連れて徐々に冥府の門が開きかけ、世界を闇が覆います。勢いづいて破壊の限りを尽くすブランケンはもう都市伝説では済まされない規模の災害です。一度は立ち上がろうとする兄妹でしたが、闇の力の強さを前に恐怖で足がすくみます。そこを一喝する長男・蒔人。 「バカヤロー!!兄ちゃんだって怖い。でも頑張ればこれがきっと最後の戦いになる。」「母さんの教えてくれた俺たちの1番の武器はなんだ!?」「俺たちの武器は…勇気!」「俺たち兄妹が、家族が、力を合わせれば、できないことなんて何もない!」うなづく兄妹。ここでようやく今回のタイトルが出てくるのがいい演出です。
シリーズ初の兄妹最大の危機に折れた心を奮い立たせたのは蒔人でした。これはいい人選だと思います。魁ではどうしても無謀と勇気を履き違えているのにわがままで押し切っている感じが出てしまいそうですので。それに恐らく描写的に誰かが反対して口論という流れになりそうですし、かと言って上兄妹が割と未熟描写が多かった末弟にホイホイと従っているのも何だか締まりません。今まで何だかんだと家族を大切にし、兄妹をまとめる大人の側面が多く描かれていた蒔人がここで本領発揮というところです。まあ勇気と無茶を履き違えるなと1話で言われていたのにこの状況で特に策もなくブランケンに向かうのは無謀じゃないのかと言われると怪しいですが、熱さで説得力を持たせているので良しとします。
再び立ち向かう気力を奮い起こした兄妹達ですが、上兄妹がマジドラゴンに変身し、魁にはルナジェルを助けに行けと言います。戸惑う魁ですが、上兄妹の気合いを見せられ、マジドラゴン形態であっさりガーゴイルを撃破したのを見て、この場を任せる決意をします。魁は実力的にレッドですが、活躍的には兄姉にバックアップされて始めてレッド的な活躍ができるというこの流れが1番説得力があっていい気がします。
天空聖者の命の尽きる光を頼りにウルザードの居場所を突き止めた魁はまたも飛び中段蹴りでウルザードを蹴り飛ばします。ぶっ倒れただけで解ける解除魔法には疑問が残りますが集中力が必要なのでしょう。立ち塞がるウルザードに名乗り付きで変身するのがかっこいいです。さらにこんな重要局面でもマジパンチが使われていて嬉しいです。
空間転移魔法によってウルザード空間に飛ばされた魁は、遂にウルザードとガチ勝負を開始します。マジパンチ使用時に、攻撃が当たるとワイヤーで大仰に吹っ飛ぶのが面白いです。マジパンチが無効化されマジスティックソードで戦いますが、大技に直撃したにも関わらずウルザードは無傷、代わりに生身で闇の力を纏った暗黒魔道斬りをかまします。これが直撃しても生きてる魁も魁ですが…
「魔法は力、そして真の力は闇からこそ生まれる。闇の力に勝るものなどどこにもないのだ!」「そんなことない。俺の力は勇気だ。兄ちゃんや姉ちゃん、そして母さん父さん、家族みんながくれる勇気だ。溢れる勇気があれば、魔法は無限大になるんだ!」家族の絆が勇気をくれ、力の源になる、ということで、兄妹戦隊のテーマの1つをしっかり消化したいいセリフです。
トドメを刺そうとするウルザードを炎の気で吹き飛ばし、マジマジマジカでパワーを増大させる魁。生身チョップでウルザードの剣を折りそのまま爆散させます。強い。ウルザードは結局復活するのですが、魁の力に興味を持ちまたも帰宅します。ウルザードの潔い戦いぶりを見たルナジェルは、彼=ライジェル説を否定します。やっぱお父様なんじゃないの??
ウルザード空間を抜け出したい魁達の前に、魔道馬バルキオンが現れます。ウルザードわざわざ帰還手段を残してあげたんでしょうか、親切な奴。バルキオンは魁達を乗せて現世へ戻ります。そしてルナジェル、大昇天。その頃、ブランケンに苦戦する兄姉は遂に蒔人がトドメを刺されそうになるまでに追い詰められていたのですが、大昇天を受けて鍵魔法が完成し、冥府門が地面に沈みます。
狼狽えるブランケンに対して帰還した魁はバルキオンと合体し、ファイヤーカイザーになって立ち向かいます。あれ?あれは一回限りっていう話は…しかも主人のウルザードが倒された直後なのに…きっと賢い馬ですから不甲斐ない主人を見限ったのでしょう。ファイヤーカイザーはブランケンを圧倒します。炎のたてがみ強すぎ。追い詰められたブランケン様、いずれ冥獣帝となりインフェルシアを支配するとかさらっと謀反宣言しています。ンマ様もまた部下を見る目がないようです。
兄妹はダメ押しのマジキングに変身しますが、ここからバルキオンはどこかへ行方不明になってしまいます。ここ若干雑なのが気になりました。物凄く気合いの入ったヘルファング地獄斬りを、兄妹が支え合う勇気で手に入れた新魔法で凍らせるマジレンジャー。新魔法には母の力が宿っていたのです。マジマザーの力を感じつつ、魔法家族斬りでブランケンを爆散させます。復活もしないようですしこれは大金星です。
家に帰った兄妹は、微笑む母の幻影を見て、母が見守ってくれているという心強さを感じ、さらなる敵に立ち向かう気持ちを新たにします。マンドラに見えていないのでもしかしたらやばい薬でもキメてるのかもしれませんが。
今まで勇気や家族愛の扱いが微妙で、その説得力の薄さを補う熱さも少なかったマジレンジャーですが、勇気と家族愛を結びつけた良い前半の区切りになりました。